母からの一通のLINEが、すべての始まりだった
「これ、ほんまに効くんかな?買ったほうがええ?」
夜勤明けで、駅から家に帰る途中。
ぼんやりした頭でスマホを開いた私は、一瞬で眠気が吹っ飛びました。
そこに映っていたのは、
「初回980円!ひざが若返る奇跡のサプリ!」
と大きく書かれた広告のスクショ。

正直、「またや…」と思いました。
母は昔からしっかり者で、財布の紐も固いタイプ。

そんな母が、ここ数年“ネットの怪しい情報”に振り回されるようになったのです。
広告のリンクをすぐ押す、
“無料”の言葉に弱い、
「限定」「残り3分」に焦る——。
頭では
「落ち着いて判断しなきゃ」
と分かっているのに、心が焦ってしまう。
私は33歳の介護士。
高齢者と毎日接する仕事をしているからこそ、
母の変化の背景が痛いほど分かりました。
年齢を重ねると、情報の渦の中で不安が膨らみ、判断が難しくなること。
だからこそ、この記事では
これらをすべて、
私と母の体験をベースに、専門知識も交えてお伝えします。
【Q&A】

Q1:親の“情弱”って、克服できますか?

はい。時間はかかりますが、“正しい接し方”で必ず変化します。

Q2:何から始めればいい?

まず「否定せずに気持ちを受け止める」こと。それだけで土台が変わります。
結論|母が怪しい情報を信じなくなった最大の理由は、「否定せず寄り添った説明」にあった
結論から言うと、母が変われた最大の理由は
怒らず、否定せず、寄り添って説明したこと。
「なんでこんなの信じるの?」
「またか…」
こんな言い方をしていた頃は、母は余計に不安になり、相談の頻度も減りました。
するとどうなるか?
相談しない→一人で判断→間違える→不安が増す→また信じる
という悪循環に陥っていたのです。
そこで私は、介護士として日頃から意識している
この3つを家庭でも実践しました。
その結果、母は
「相談しても怒られない」
と安心し、判断力が安定していったのです。
背景|おかんはなぜ怪しい情報に惹かれてしまったのか?
年齢とともに“焦り感”が増える
母の中では
「健康に不安」
「老後が心配」
という気持ちが強くなっていました。
不安が強いと、人は
という気持ちで、希望を与える広告に惹かれます。
情報が多すぎて適切に整理できなくなる
スマホは便利な一方で、
高齢者にとっては情報の洪水。
などが一気に押し寄せるため、
目に入った情報をそのまま信じてしまいやすくなるのです。
詐欺広告が“優しい言葉”で誘ってくる
「膝がラクになりますよ」
「今だけ特別無料です」
「あなたの悩みに寄り添います」
このような“優しい口調”は、高齢者に深く刺さります。
介護士として気づいた「これは能力の問題ではない」という事実
私は現場で
“誤情報に弱い=能力が低い”ではない
という現実を何度も見てきました。
相手を信じるやさしさや、
困ったときの素直さが裏目に出てしまうだけなのです。
母もまさに同じでした。
体験談①|母が怪しい健康広告を信じかけた“あの日”
「これ買ったほうがええ?」突然のLINE
母が送ってきた広告は、
典型的な“誤情報系健康サプリ”。
「残り3分!」
「奇跡の若返り!」
「初回98%OFF!」
寝ぼけた頭でも分かる怪しさでした。
私が感じたイラッとした気持ちと、切り替えた瞬間

「なんでまたこんなの信じるん?」
と、正直最初は言いかけました。
でも、仕事で高齢者の不安に接してきた経験から、
怒ったら相談しなくなる
ということを思い出し、

「ひざ痛いんやなぁ。心配やったよな」
と声をかけました。
これがすべての転機でした。
体験談②|別の日に“今度は美容広告”にひっかかりそうになった話
ある日、母がまたLINEを送ってきました。
「シワ消えるクリームみたいなんやけど…どう思う?」
添付されていた広告には
という怪しさ満点の要素。
私は母にこう聞きました。

「これ、どこが気になったん?」
すると母は、

「最近ほうれい線気になって…ちょっとでも良くなるならって…」
母の“不安や気持ち”がはっきり見えた瞬間でした。
母の弱さではなく、
母の「自分をよくしたい」という気持ちにつけ込んでいる広告が問題だった。
この時点で私は、
より根本的な“判断力を育てるサポート”が必要だと思いました。
実践した克服ステップ|母が変わった5つの方法
①まず安心させる言葉をかける
親の不安が落ち着くと、
判断力が戻りやすくなります。
②“目的・発信者・根拠”の3つで情報整理する
私は紙に書いて一緒に見ました。
すると母は、自分で怪しい部分に気づくことが増えました。
③危険サインを“ゲームのように”一緒に探す
広告の共通パターンを楽しく共有することで、
母は自然に疑う力を身につけました。
④“迷ったら一旦閉じる・娘に聞く”という家庭ルール
冷蔵庫に貼ったこのルールが劇的に効果あり。
⑤相談しやすい雰囲気づくりこそ最大の武器
情報リテラシーで一番大事なのは、
「わからないときに誰かに聞ける」こと。
母に起きた変化|“自分で判断できるようになった瞬間”
数週間後、母からこんなLINEが来ました。
「これ怪しい気がするから、閉じといた!」

私はスマホの前で思わず拍手しました。
母が“自分で選べる人”へと変わり始めた瞬間でした。
読者向け|今日からできる情弱克服サポート5つ
- まず否定せず安心させる
- 情報は「目的・発信者・根拠」の3つで見てみる
- 危険サイン(焦らせ・過度な値引き)を共有
- 家庭ルールを決める
- 相談しやすい空気をつくる
逆効果だった“やってはいけない声かけ”も紹介
| 「なんでそんなの信じるん?」 | 母は傷つき、相談しづらくなった |
| 「それ詐欺やで!やめな!」 | 母は焦って逆に申し込みそうになった |
| 「調べたらわかるやろ」 | スマホ操作が苦手な母には酷だった |

高齢者は怒られると
“次は黙って自分で判断しよう”
とします。
これがもっとも危険です。
介護士としての専門視点|高齢者が誤情報に弱い理由
現場経験から見える“科学的な理由”を紹介します。
これらの理由が積み重なると、
母のように誤情報に弱くなるのは自然なことなのです。
まとめ
母が変われたのは、知識ではなく、
寄り添い・習慣・相談のしやすさ
この3つを整えたからでした。
独自性を持った体験談として言い切れますが、
本当に大事なのは、
「親を守りたい」という気持ちと、
「怒らずに寄り添う姿勢」
これだけです。
今日からあなたも、おかんやお父さんと、
ゆっくり一歩ずつ始めてみてください。
【Q&A】

Q1:親が相談してくれません。どうしたらいい?

「怒らない」「笑わない」この2つを宣言すると、相談が増えます。

Q2:詐欺広告を100%見抜く方法は?

ありませんが、「目的・発信者・根拠」の3つを見るだけで十分です。

Q3:忙しくても対応できる方法は?

「迷ったらスクショだけ送る」ルールが最強です。


